まえがき~「夜明け前」と「明けない夜はない」~

激動の時代の中で感じますことは、「夜明け前」が一番不気味で、不透明で、人を不安な気持ちにさせるということです。まさに今が、夜明け前の一番苦しい時だと、様々な意味で感じます。

禅語にいわく、「泉聲中夜後」(せんせいちゅうやののち)。
意味は、大自然の中での水の音の声は、真夜中が過ぎた夜明け前が一番心に響くということです。
つまり、今が夜明け前ならば、様々な心配が、自分の心に刺さることでしょう。

自分の心に、心配事を響かせないように注意しましょう。
その心配は、今はただ倍ほどに膨(ふく)らんでいるだけなのです。
夜明け前、だからこそです。

でも、太陽が出れば、すべての心配は霧散(むさん)していきます。
今の不安な懸念の問題も、必ず解決策が出てきて、無難になっていくと希望しています。
夜明け前の不安があるならば、「明けない夜はない」も言えるのです。

だから、もし今が苦しくても、慌(あわ)てて死に急ぐようなことをしてはダメです。
今は、ただ生きて行きましょう。
それで良いと思います。

本書では、悩んでおられる人へ、「悩みについての対処法」「悩みから解放される生き方」を、禅の先達(せんだつ)からのメッセージ「禅語」の視点で書き下ろしてみました。

「禅語」には、人の人生の明暗を分けるほどの真実の叡智(えいち)と真理があると思います。
心を強く、明るく生き抜く参考にしていただければ幸いです。


第一章 直心是道場の章

1-険しい峰(みね)を歩いたことも思い出に変わります
2-歩々是道場(ほほこれどうじょう)
3-真っ直ぐな心で、ぶち当たること
4-自分の生活の細事までを、芸術にすること
5-本当の真理は生活動作・動きの中にこそあります
6-いつでも、どこでも、リラックス
7-心にも熱量が大切です
8-心をカラ(空[くう])にする秘訣
9-心を〝無〟にするとは?
10-「考えるな、感じるんだ」から「考えるな、自分で行動するんだ」へ


第二章 莫妄想の章

1-目の前のことに、ただ一生懸命に打ち込んでみましょう
2-ただ、ひたすらにDoすること
3-「〜してから始める」は、何もしないままで終わる
4-今の状態の中からの一歩踏み出す
5-「ただ今」と、「前向き」と「やる気」
6-「平らな気」で生きましょう
7-みんな違って良いのです
8-苦労が多い人ほど、大きな仏様になれます
9-人生を切り取って見てはいけない
10-今を集中して、見て、生きればOK
11-先入観は「運」を逃すかも知れません
12-選択肢に正解がない場合


第三章 自分が主人公の章

1-自分を「主人公」にして、生きているかい?
2-「思考」錯誤するよりも、行動に移ること
3-そのつど掃除することの大切さ
4-何にでも「成り切れる」能力は素晴らしい
5-もし辛いことがあっても大丈夫です
6-何も持てない自分を責めてはいけないわけ
7-負けるが勝ち
8-無縄自縛(むじょう じばく)から、無錠解放(むじょう かいほう)へ
9-好き嫌いについて
10-円相(えんそう)
11-自分の心の拠(よ)り所(どころ)の有無が、人生を分けます
12-他人の人生を生きるために生まれたのではないこと

 

第四章 禅問答の章

1-途方もない奇跡の縁の上で起こっている今の瞬間
2-生と死に区切りはありません
3-正解も、変わって行くものです
4-悪い点ばかりを数えて生きていないかい?
5-すでに堂々と在ることに、気づきましょう
6-自我の努力は、瓦でも仏に変えたいようなムダをさせる


第五章 悟りの章

1-山川草木(さんせんそうもく)ことごとく仏性(ぶっしょう)あり
2-柔軟な心が人生を生きやすくする
3-神さんが体験したかった
4-大安心=悟り
5-「自分が」が消え去ると、本当の自分(神性)が出ます
6-「神様」は「動」の中の「静」
7-できることをして安心すること
8-「我慢」とは慢心への注意だった
9-昨日の悟りよりも、今日の生活が大切
10-一生懸命は美しい
11-霊的師は害悪
12-自分自身を信じてあげれば大丈夫です
13-光り出す人
14-必ず死ぬことを忘れない「明るい」生き方
15-アホウは最高の悟り
16-「抜群無益」(ばつぐん むえき)とは「在群有益」(ざいぐん ゆうえき)
17-禅は究極を表現し、ミロクの世も指摘していた


最終章 希望への引導の章

1-御宝を失くす前に、気づけることが大切
2-本当に大切なことは、身近すぎて見えない、気づけない
3-平和で退屈なことが最高だった
4-大切なモノを失くした想像をするだけでも、人間は正されます
5-災難から逃れる方法
6-「苦しみ」の新解釈
7-先が暗い時ほど、今の自分の足元を見て歩く
8-今にできることをしていない自分だから、未来が不安になる
9-畏れるべきは、自分の自作自演だった
10-松の葉が、風を切る音が聴こえるかい?
11-give up することも、悪くないよ!
12-自分が残す痕跡を考えたことがある?
13-心の荷物を降ろす大切さ

 

あとがき